20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
単離した4株の野生酵母を混合培養し醸造した2種の原酒をブレンドしたベルジャンストロングゴールデンエール
※※注意※※
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極めて流通量が少ないためおひとり様一本までとさせて頂きます。
アルコール:8.0%
IBU(苦さの基準):
種類:ベルジャンストロングゴールデンエール
容量:750ml
生産地:日本 三重県伊勢市
【ブルワリーより】
KADOLABO 033 Isolation and Integrationは単離した4株の野生酵母を混合培養し、醸造したふたつのBelgian Strong Golden Aleをブレンドして作ることで、野生酵母のキャラクターの重ね合わせを表現している。
ISEKADOでは、10年来、野生酵母を活用したビール醸造に取り組んでいる。
現代の国内クラフトビール醸造においては、商業的に培養・販売されている酵母を使用するのが主流である。大元をたどれば、ビール醸造はそれぞれの醸造所が保有する固有の酵母株を用いて行われてきた。それにより世界各地で地域に特有のビアスタイルが存在している。それぞれの酵母株は、醸造所の長い歴史の中で選抜育種を重ねてきた株であり、ビアスタイルに固有の魅力的な特質と、高い再現性や醸造適性を兼ね備えていることが多い。現代のクラフトビールの醸造においては、これらの酵母株に由来する醸造用酵母を使用するのが主流である。新規参入企業にとって、酵母株の育成は大きなコストであり、醸造用酵母の使用は、そのコストを省略して高品質な商品の製造を可能にするため、大きなメリットがある。その理由から、ISEKADOの主力商品は、醸造用酵母を用いて醸造している。
醸造用酵母を使用することに大きなメリットがあるにもかかわらず、なぜ、野生酵母を活用した醸造に取り組み始めたのか。それは、地域独自性を持つ商品開発をするためである。
日本のクラフトブルワリーはビールの主原料である麦芽とホップも輸入に頼っている。日本国内で生産されている麦芽とホップは極めて少なく、クラフトブルワリーの調達範囲では品質・価格が輸入品に劣ることがほとんどである。海外産の麦芽・ホップを使用したビールを醸造する場合、模倣が容易であり、商品の差別化が難しくなる。クラフトブルワリーが消費者から求められる地域性の記号も付与しにくい。
そこで地域独自性を持つ商品開発のためのアイデアとして、野生酵母を活用したビール醸造が生まれた。酵母は世界中に遍在しており、酵母の生み出す香気成分でビールに固有性を与えられることが期待された。
最初に野生酵母を活用して醸造したビールは、代表取締役社長 鈴木成宗が自ら開発した「社長スペシャル」ラインの限定商品「Imperial Wheat Ale」だった。樹液から採取した菌叢を用いて醸造した。のちに、この菌叢から酵母を単離し、ITS領域のシークエンス解析を行い、Saccharomyces cerevisiaeに属する株であることが確認された(ただし、これは間違いであることがのちに判明した)。KADOYA1と名付けられたこの酵母株を用いて、「ヒメホワイト」という定番商品が開発された。以後、KADOYA1株をきっかけに開発した野生酵母の単離ノウハウを用いて、現在は野生酵母約20株の単離に成功し、保有している。
ISEKADOブランドにおいては、そのうち4株 KADOYA1, BOKE, BE-2, APP-3を用いて、限定商品を多数開発している。自社で自然環境から採取・単離した野生酵母を活用して、他社から模倣が困難な、個性的な特質を持ったビールを生み出している。
KADOLABOブランドにおいても、積極的に野生酵母を活用した醸造に取り組んできた。003 Dive in the Wildに始まり、ISEKADOブランドでは未登場の菌株を含むビールもいくつかリリースしてきた。特に興味深かったのは016 Wild Festaで、KADOYA1株, BOKE株, BE-2株, WLT-1株の4種類の野生酵母の混合発酵に挑戦した。ラカンセア種のWLT-1株で最初にサワリングを行ってから、ほかの3株を決まった比率で添加し、発酵させた意欲作だ。
その結果は、それぞれの株の個性が融和した魅力的な仕上がりだった。
さて、今回の033 Isolation & Integrationにおいては、もう一歩アイデアを進め、4株の酵母の平衡状態の発酵プロファイルの再現を目指した。
醸造のひと段階前の酵母の培養行程であらかじめ4株の野生酵母を混合し、培養したうえで、醸造した2種のBelgian Strong Golden Aleを混合するという方法を取った。
醸造工程においては、1つはステンレス樽で、もう1つはオーク樽で発酵させた。前者は嫌気環境であるが、後者はごく微量ではあるが好気環境となる。
この設計は混合培養とビールの醸造という2段階に酵母の増殖過程を含み、それが2反復実施されることで、016 Wild Festaで実施したよりも、自然状態に近い4株の共生状態を作り出している。その反面、完全な競争において想定され得る、ボトルネックの発生による排除の可能性は抑制できているはずだ。
単離した酵母を再度、競争環境に引きずり出し、野生酵母の自然の力を最大限引き出した。アロマプロファイルは共通するクローブ様のフェノール香をベースラインに、KADOYA1株のバナナ・白ブドウ様の香気、BOKE株のリンゴや煙のような香気、BE-2株のイチゴや樹皮のような香気、APP-3のリンゴや花のような香気、それぞれが調和した絶妙なバランス感に仕上がっている。瓶内二次発酵により仕上げることで、泡も豊かになり酵母由来の香気成分の開きも一段と良くなった。
032とスタイル上は非常に近いものだが、酵母の見せる表情は異なる。
飲み比べすることでより鮮明に感じられるかもしれない。