【5/16(金)予定・必ず合計「6本」以上になるようご注文下さい】伊勢角屋麦酒 カドラボ032(ISEKADOYA BEER KADOLABO 032)

4,540円(税込4,994円)

購入数

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

野生酵母BOKEの複雑な味わいを前面に引き出した度数高めのベルジャンストロングゴールデンエール

※※注意※※
本ビールを含み、合計6本以上になるようご注文下さい(5本以下の数量でのご注文は申し訳ありませんがキャンセルとなります)
キャンセル時にメールやお電話でのご連絡は致しませんのでご注意ください。
倉庫受け取りでのお取り置き分への追加、過去オーダーとの同梱の方は全てのオーダー合計で6本以上になればOKです。
極めて流通量が少ないためおひとり様一本までとさせて頂きます。


アルコール:10.5%
IBU(苦さの基準):
種類:ベルジャンストロングゴールデンエール
容量:750ml
生産地:日本 三重県伊勢市

【ブルワリーより】

本作は瓶内熟成のBelgian Strong Golden Ale 018 Slowly Goes the Nightのリベンジ作となっている。野生酵母を活用したハイアルコールビールの醸造と瓶内熟成のコンセプトを引き継いでいる。そちらの解説は018の文章を参照されたい。
今回も野生酵母BOKE株の発酵限界を探ろうと酵母の香気成分を活かしたハイアルコールなBelgian Strong Golden Aleを設計した。前作は主発酵が予定していたペースで進まず、約7%時点でGlucoamylaseを代謝しないBrettanomycesのBR-8を添加して、9%のビールに仕上げた。
今回はBOKE株のみで10.5%ものハイアルコールなBelgian Strong Golden Aleに仕上げることに成功した。リンゴや梨様のエステルに、クローブや煙を思わせるフェノール香が入り混じり、洗練された味わいに仕上がっている。
018の醸造で発酵が途中で止まった原因は、気温の低さに由来する低温ストレスとアルコール耐性の低さの掛け合わせによるものだと推定し、今回の醸造では気温の低い冬季を避け、そして増殖期に健やかな細胞を育めるように、初期菌体数の確保と必要栄養分の過剰なまでの供給をした。窒素分・ミネラル分・酸素を段階的に加え、栄養成分を枯渇させないようにした。
特に島津製作所との共同研究の結果から、BOKE株がイソロイシン・バリン・トリプトファンといいったアミノ酸の要求性が高いことが示唆されている。アミノ酸の欠乏は酵母の代謝機能に悪影響を及ぼし、発酵能力を下げてしまう。共同開発した香調はアミノ酸供給を増加させることで従来よりも発酵度を高めることに成功している。したがって、アミノ酸の供給には特に留意して、発酵初期の酵母増殖をサポートした。
そしてもちろん、初期比重は約18プラートと抑え、度重なる少量の加糖によりアルコール度数を高めた。加糖にはビール名から推定される通り、蜂蜜を用いた。蜂蜜の主成分はフルクトースだ。浸透圧の強い糖類であるから、段階的に少量ずつ加えることで、浸透圧ストレスを軽減した。
実は加糖のタイミングも前回と変更している。これにはBOKE株の遺伝的特性が関係しているため、背景から説明する。
酵母は単糖と二糖以上で代謝経路が大きく異なり、異なる遺伝子群を動かすことが知られている。単糖の代謝機能は多くの酵母で活発な一方で、二糖以上の代謝機能は遺伝特性により大きく異なる。ビール醸造用の株の多くはどちらも活発に活動させることが可能なため、短期間に麦汁に多く含まれるマルトースを代謝し、アルコールに変換することができる。一方、日本酒醸造用の株には二糖以上の代謝が全くできないものも多く存在する。ISEKADOブランドで製造しているZAKU酒粕ヘイジーIPAで使用している日本酒酵母BMK3はマルトース資化性を持たない日本酒酵母MK3に由来する。ビール醸造向けに突然変異でマルトース資化性を付与した酵母株なのである。話を戻すと、酵母は株により二糖以上の代謝能力に差がある。BOKE株は過去の分析により、マルトースの代謝能力を有するものの、ビール酵母には全くかなわず、同じ野生酵母のKADOYA1株にも劣ることがわかっている。
二糖以上の代謝能力にはマルトーストランスポーターと呼ばれる、酵母の細胞膜内に二糖以上の糖類を運び込むタンパク質を代謝する遺伝子群の発現が関与している。これらの遺伝子群は単糖が枯渇した際に発現が促されることが知られており、逆に単糖の存在下では抑制される。

BOKE株もKADOYA1株も仕込み直後に旺盛に発酵し、最終比重近くでは糖度の低下が緩やかになる。ビール酵母よりも緩急が激しいことから、発現調整の応答がビール酵母に比べて遅いのではないかと予想している。
ビールの発酵中に単糖を主とする糖質を添加する場合、マルトーストランスポーターの発現が抑制され、添加された糖質の代謝が優先されることが予想される。そして、マルトーストランスポーターへの切り替えには時間がかかるのではないか?
実際、018の醸造の際は最終比重の前の緩やかな発酵期間、おそらくマルトース・マルトトリオースを発酵している期間に加糖を実施していた。すると、加えた糖分の比重は短期間で下がるものの、以後比重が加糖前の数字付近で停滞する現象が観測されていた。
この理論および結果を踏まえると、浸透圧ストレスの抑制と発酵をスムーズに進めることを両立させるための最善手は、麦汁の発酵を最終比重まで進めてから、加糖して再発酵させることではないかと考えられた。
それに従い、今回の醸造では、初期比重約18プラートから予想最終比重約4プラートまで発酵が進み、落ち着いたところを見てから、段階的な加糖を実施した。

以上の調整の結果、滞りなく発酵が進み、約10日間の主発酵期間を経て、10.5%のビールを仕上げることができた。BOKE株のポテンシャルを最大限引き出せたことを嬉しく思う。酵母の魅力溢れる一杯を楽しんでほしい。

カテゴリーから探す